ゴルフシューズの選び方には、たくさんのポイントがあります
靴、シューズというジャンルには、スーツなどに合わせる革靴、ジーンズやカジュアルな服装にあわせたスニーカー、散歩のときに履くウォーキングシューズなど、用途やシーンにあわせて沢山のカテゴリーがあります。
そして、スポーツというジャンルに目を向けると、それぞれに専用のシューズがあり、より良いパフォーマンスを生み出すために必要な要素がそなわっていて、ブランドやサイズの他にも、性能面で選ぶべきポイントがあります。
ゴルフというスポーツの専用シューズにおいては、その点が特に顕著かと思います。
ゴルフは、老若男女を問わず楽しめて、オールシーズンでプレーすることができるスポーツであることから、自然とニーズが多様になります。それに応えるため、素材やサイズ規格に関してもいくつかの種類があり、ソールの性能やファッション性をふまえたデザインなどとあわせると、選ぶべきポイントとしてたくさんの要素が存在します。
「とりあえず1回だけラウンドする」ということでしたら、コスパ重視で購入する、もしくはレンタルシューズでもよいと思いますが、「ゴルフというスポーツを本格的に楽しみたい」というゴルファーの方でしたら、ゴルフシューズについてのたくさんの知識を覚えていただきたいですし、ファッションの面でも、性能面でも、より自分に合ったシューズに出会ってもらいたいと思います。
ここでは、そんな《楽しめる》ゴルフシューズを構成する要素、基礎知識を、ひとつひとつご説明していきます。
第1回は『ソールの形状』になります。

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ゴルフシューズのソール形状 ソフトスパイクとスパイクレス
ゴルフシューズを楽しむために、一番に覚えていただきたいこと、靴底、アウトソールの形状についての基礎知識をお伝えします。
大きく分けて、スパイク鋲(ビョウ)がついている『ソフトスパイク』、通常のスニーカーの底に突起を多くつけたような『スパイクレス』の2種類があります。

性能の比較でいえば、《グリップ力のソフトスパイク》と《履き心地重視のスパイクレス》という分け方が一番シンプルかもしれません。
先に『ソフトスパイク』のご説明です。
こちらは交換のできる樹脂製の鋲がついているのが特徴です。20~30年前までは鉄製の鋲がほとんどだったため、樹脂に変わった今では、ソフトスパイクという呼び名がついています。
樹脂製なので、芝生やアスファルトなどを歩くうちに摩耗したり劣化したりしますが、靴底、アウトソールに脱着できる樹脂製のネジのようなものがあり、交換可能となっています。
メリットは、なんといっても、芝生をガッチリつかんでくれる性能、強いグリップ力です。メインの仕事はスイング時の安定感。山や谷での斜面を歩くときに滑らないようにする役割もありますが、ティイングエリアからフェアウェイ、ラフ、傾斜地、バンカーなど、コースではさまざまなシチュエーションでスイングをすることになりますので、安心して足腰を動かすことができるように、地面との接地感を最優先に考えて造られています。
もうひとつのタイプは『スパイクレス』になります。
アウトソール自体に凹凸の形状があり、そのまま芝生とのグリップ力になります。鋲がなく、ネジの部分もないので、重量的にも軽くすることが可能ですし、履き心地も通常のスニーカーに近い感覚になります。
ソフトスパイクとくらべると、軽量化による疲れ軽減と、歩きやすくなる履き心地の良さがメリットとなるタイプです。
ただ、ここ数年のスパイクレスは、突起の形状もソールの材質も開発が進み、スイング時のグリップ力の性能が格段にアップ。
滑りやすい洋芝でプレーしている欧米のトーナメントプロが、実戦で使用するほどにまでなっていて、日本のトーナメントプロでも使用者が急増。スパイクシューズとしての性能面での評価も高くなっています。
ゴルフシューズ ソフトスパイクのグリップ力
前述のとおり、スパイクレスのグリップ力の評価も高くなってきてはいますが、やはり鋲がついているタイプには敵いません。
鋲の数にもタイプがあり、少ないタイプで片足に6つ、多いタイプですと9つもあるモデルもあります。以前は、鋲がついていることで、履き心地が損なわれるデメリットが目立ちましたが、近年はだいぶ解消されたと思います。脱着部分の違和感も減り、インソールとミッドソールも進化していて、下がやわらかい芝生の上では違いが感じないくらいになってきているといってもよい程かもしれません。
スイングのパワーを伝える役目 ゴルフシューズは足元の安定感をつくる
ゴルフシューズを販売するメーカーによって、グリップ力をアピールするプロダクトの機能はさまざまですが、近年では「芝の上で滑らない」という目的にとどまらず「スイングにパワーを伝える」というキーワードになってきています。
国内メーカーの中で老舗ともいえる『ミズノ』では、『飛びスパイク』という独自の概念をうちだしています。文字通り、『飛び』に直結する機能をもったネーミングのシューズですが、ツメのようなカタチをした鋲を装着することで、スイング時に体重がかかる方向へのグリップ力を増す、という原理になっています。
しかも、この鋲は向きを変えることもできるので、左足の外側へのグリップ力、右足の後ろ側へのグリップ力を増す、など、個々のゴルファーのスイングのタイプに合わせて設定することもできるようになっています。
また、ゴルフを専業とするシューズメーカー『フットジョイ』は、長年ゴルフシューズの分野では世界のトップクラスの実績と評価を継続していて、今現在もたくさんのモデルを展開しています。
その中でも、スイングの一瞬一瞬の動きにたいして、シューズを構成する各パーツがどうあるべきか、どのような造りであればよりパワーを伝えられるか、というコンセプトでのモデル開発も進めています。
シューズを上から見たときに、アウトソールの形状のほうがワイドに少し張り出していて、接地面積をひろくすることでトラクションを上げる、というグリップ力+安定感を重視したモデルを発売しています。
ソフトスパイクのモデルは、各メーカーそれぞれに特徴がありますが、グリップ力をアピールしているモデルを実際に履いてスイングをしてみると、その安定感と安心感には、やはり大きな違いを感じます。
特に、パワーのある男性で、スタンス幅がひろく、足腰の動きも強い、というスイングタイプの方ですと、芝の上でスイングしたときの《地面をつかむ力》は何よりも必要不可欠ですよね。
パワーヒッターにとって、優れたグリップ力により生まれる《安定感》という性能は、履き心地よりも優先されるニーズになるかと思います。
ゴルフシューズ 履き心地と軽量のスパイクレス
スパイクレスの歴史は長く、誕生は鉄製のメタル鋲が使われていた時代にまでさかのぼります。なんといっても鉄製の鋲ですし、現在ほどのアウトソールの技術はありません。履き心地には今とは雲泥の差があったでしょうし、あくまでグリップ力が最優先の機能だったかと思います。
また、今では乗用カートがスタンダードですが、以前はほとんどのゴルフ場がすべて歩きでした。重量も重く、履き心地も良くないメタルスパイクが全盛の時代、スパイクレスの登場は必然だったかと思います。
誕生当初は、単一の素材で凸面も摩耗して減りやすく、そして形状も今ほどの工夫はなく、明らかにグリップ力よりも履き心地が優先されていて、アスリートゴルファーへの浸透は遅かったかと思います。
ただ、トーナメントプロ、特に多くの女子プロが実戦で履き始めたことをきっかけに、市場のシェアが大きく変わっていきます。もともと国内のゴルフメーカーの大手、ブリヂストンやダンロップは、言わずと知れたタイヤの一流メーカーです。当然ですが、ゴム素材の開発と地面との接地感に関しては、ゴルフシューズよりも性能が重視される分野です。
シューズの寿命と同じくらいの耐久性をもつアウトソールの素材、芝との摩擦を最大限発揮してくれる凹凸の形状など、タイヤで持っている技術をシューズにも生かし、スパイクレスの性能は飛躍的に進化していきました。
そうなると、スニーカーとほぼ同じ造りのスパイクレスです。軽量と履き心地は断然上になりますので、特に、レディースゴルファーやシニアゴルファーのニーズとの相性は抜群。
スパイクレスのモデルはどんどん増えて、今ではフットジョイやアディダスといった海外ブランドも多数のモデルを展開しています。
スパイクレスは練習用シューズとしてもおすすめ。練習場とコースで兼用できる便利なタイプです
スパイクレスのメリットとしては、練習場でも使用しやすい点が挙げられます。
ソフトスパイクは、ゴムマットや人口マットの上だと、鋲の分だけ高さができてしまいます。わずか数ミリ、若干の高さではありますが、とはいえ少し浮いている感覚になります。
特にゴムマットだと鋲がささらないため顕著に感じてしまうでしょう。
その点では、スパイクレスは問題なし。通常のシューズとほぼ同じ高さになるので、練習場用のシューズとしては最適です。
初心者の方におすすめのスパイクレス 練習用にも使えて、コスパの面でもお得です
初心者ゴルファーの方、これからゴルフを始める方は、まずはコースデビューにむけて1足購入することになるかと思います。
スパイクレスでしたら、練習場での使用にも最適、練習をかさねて足に馴染ませてから、コースラウンドで使用、というように両方の場面において、1足で活用できます。
また、スパイクレスはエントリーモデルとしてのプロダクトとして、比較的安価なモデルも多く、1万円台、もしくは型落ちモデルなどですと、セール価格で1万円以下の品もあります。コストパフォーマンスも良く、《最初の1足》としてはおすすめかと思います。
まとめ
第1回はソールの形状についてお伝えしました。
ソフトスパイクのところでも記載していますが、ゴルフシューズのグリップ力は、最も優先される機能のひとつです。
ただ、メーカーの公式ホームページをご覧いただくとわかりますが、近年、スパイクレスのプロダクトはどんどん増えています。やはり、履き心地と軽量化は、シューズにとって、なくてはならない要素のひとつということなのでしょう。
次回は、この2つの大事な要素、《履き心地の良さ》と《軽量化》に必要なもうひとつの大事な基礎知識である『アッパー素材』についてお伝えします。
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