スコアを安定させたい、平均スコアを伸ばしたい、という方へスコアアップのコツをご紹介 アプローチの重要性や、寄せワンの確率をあげるための考え方をお伝えします。

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スコアのつくりかた 第4回は『アプローチの考え方』
こちらのシリーズの冒頭で記載していますが、こちらでお伝えする内容はレッスンの類ではありません。
もし、「ロブショットの打ち方を知りたい」「低い球でスピンをかけて止めたい」など、スイングの技術、テクニックの類での情報をお求めの方でしたら、こちらの内容ではお力にはなれないと思いますので、恐縮ですが、ここでストップされたほうがよいと思います。
こちらでお伝えしていく内容は、スコアを良くするための知識、考え方、取り組み方などのご紹介になります。今回は『アプローチの考え方』というテーマです。
アプローチの重要性とは? スコアメイクはアプローチ次第
豪快なドライバーショット、ピンをデッドに狙うアイアン、どちらもゴルフの醍醐味ですし、何よりもバーディーやナイスパーにつなげるためのイメージが強いショットです。
練習にも身が入りますし、コースラウンドの現場でも、一番楽しい場面かと思います。
比較して、アプローチショットはいかがでしょうか。
前提として、セカンドショットでグリーンを外した時に出会うショットですし、リカバリーのジャンルに入ります。
寄せないと次のパターの距離が長くなり、スコアに直結することもありますので、プレッシャーも大きい。
それなのに、フルショットのように全身を使った動きではなく、肩と腕と手首といったデリケートさもある上半身の動きがメインになり、何よりも振り幅も小さい。
このようにいくつかの点が挙げられるくらい、アプローチショットはマイナスのイメージが強いのです。
初心者の方も含めてですが、ドライバーからアイアン、アプローチやパターのなかで、一番得意なショットは?という問いに、アプローチと答える方は少ないかと思いますし、逆に一番苦手、という方も多いのではないでしょうか。
しかし、『スコアのつくりかた』というテーマですと、まさにド真ん中になりますが、前述したとおり、アプローチショットはスコアに直結する大事なジャンルになります。
変な表現ですが、ドライバーが曲がってラフにいってしまっても、セカンドでゴロを打って転がってしまってようやくグリーンの近くまで行く程度、だったとしても、そこからのアプローチショットがワンピン以内に寄せられれば、まだまだナイスパーの可能性があるのです。
ひとつの参考データをご紹介します。2022年、昨年の女子プロのトーナメント、JLPGAのデータにパーオン率というスタッツがあります。
トッププロたちがどれくらいの率でパーオンしているか、という数値ですが、トップの山下美夢有プロが約75%、スタッツランク50位の選手は66%という数値となっています。
要するに、平均すると、10回に3回はグリーンを外しているということです。
それでも、選手たちはアンダーのスコアでラウンドしてきます。
バーディーの数ももちろんありますが、10回のうちの3回をどれだけ確実にパーセーブしているか、ということも見てとれます。
ただ、一般にアプローチショットが苦手な方が多いのにも理由があります。
冒頭にドライバーやアイアンが楽しいから、という理由も挙げましたが、一番の理由は、練習場が人口マットで、コースの現場が芝生、ということではないでしょうか。
人口マットは手前にヘッドが入っても滑ってくれるので実践さに欠けますし、さらに、30ヤードや50ヤードといった看板までがグリーンのような芝ではないので、転がりなども変わってしまい、確認ができません。
心理的にも影響して、結果的に練習量も減ってしまいがち。
フルショットに比べると、上達が遅れて、なかなか得意なジャンルにならない、というケースが多いのではないでしょうか。
ここからは、そんなアプローチショットの考え方、コースでの向き合い方、練習方法など、スコアメイクにつながっていくコツをご紹介していきます。
アプローチショットの練習方法 ずばりショートコースが最高!
まずは練習方法です。「なんだ…、ショートコースか…」と思われる方が多いかもしれませんが、馬鹿にしてはいけません。
ティイングエリアからグリーンまでの距離は短くても、アプローチ練習には最高の場所です。
ショートコースは、ウェッジなどのショートレンジ用のクラブでティーショットを打つことが多いため、ティイングエリアはほとんどが人口マットかと思います。
そこは打ちっ放しの練習場と同じですが、そこから先はきちんと芝生の世界です。
グリーン周りにはちゃんと芝がありますし、絶好の練習場所になります。
もちろん、アプローチのレンジから何球も打つのはコース側にとっても、同じ日にラウンドしているゴルファー達にとっても良くない行為になりますので、好ましくありません。
ただ、わざとグリーン手前に落とす距離でティーショットを打つ分には構いません。
この場合、スコアは度外視です。プレー進行に遅れがない範囲であれば、時間的に問題ありませんし、アプローチくらいのショットならばターフもそんなに取れないので、芝生の育成的にも大丈夫です。
通常の9ホールのショートコースであれば、少なくとも9回はグリーン周りで打てますし、2回回れば18回です。
練習場の人口マットから20球や30球打つよりもはるかに効果的ですし、というより比較にならないくらいです。
ショートコースで芝生の上から打つことに慣れると、実際にコースラウンドのときのプレッシャーの度合いに大きな変化が生まれます。
苦手なイメージ、「ミスをしたらどうしよう…」というイメージから、「どういうアプローチがよいか」「どこに落としてどういうラインで」といったアプローチの本質的なことに集中することができるようになります。これは大きな前進です。
ショートコースでの練習で芝生からのアプローチに慣れることを知っていただきましたら、次にアプローチの考え方、本質的なことについてお伝えしていきます。
アプローチショットのバリエーションは2種類、ランニングアプローチとピッチエンドラン
グリーン周りではさまざまなシチュエーションに出会うと思います。
グリーンセンター手前、比較的平らでライも良い花道もあれば、ピンまで距離があって距離感が難しいときもあれば、バンカー超えのようなプレッシャーがかかるケースもあります。
場面に応じて、打ち方やイメージの仕方は個々に違いがあるかもしれませんが、こちらをご覧になっている方、アプローチが苦手な方、もっと確率を上げたいと思っている方へのおススメがあります。
まず、シンプルに2つのアプローチショット、『ランニングアプローチ』と『ピッチエンドラン』という言葉を覚えてください。
アプローチショットとしては、基本中の基本になりますが、もうひとつポイントがあります。
この2つのアプローチは、2本のクラブを設定して、それぞれに役割を固定してください。
具体例を挙げます。転がしの距離が長いランニングアプローチはロフトがたっている番手が最適です。
アプローチといえばアプローチウェッジかサンドウェッジ、というイメージの方も多いかもしれませんが、転がすことがメイン作業なので、9番アイアンやピッチングウェッジのほうが楽に転がってくれますし、振り幅も小さく、パターのような感覚で打つこともできます。
そして、ピッチエンドラン。
少し球の高さをだしてキャリーをかせぎ、グリーンに落ちた後はピンまで転がして、というアプローチになります。
グリーンまで距離がないケースならばよいのですが、ラフがあったりすると、それを超えなければならないので、ランニングアプローチよりも少し球を上げることが必要になってきます。
そのようなシチュエーションで使うアプローチになりますが、番手としてアプローチウェッジかサンドウェッジ、48度から56度くらいまでが最適かと思います。
ここで大事なポイントを3つ。
アプローチショットは2本のクラブで。転がし用とピッチエンドラン用を設定
まず1つ目は、前述したとおり、2本に固定してください。
これにも理由があります。
まず、1本ですべてのアプローチを打つ方もいますが、ひとつのロフトで上げたり転がしたりするには、それぞれの対応を必要とします。アドレスも変えますし、フェースのコントロールも変わります。距離感もその都度合わせなければなりません。
わかりやすい表現をするならば、シンプルではないのです。
これを2本に設定すると、実にシンプルになります。
例えばランニングアプローチは9番、ピッチエンドランはアプローチウェッジと固定すれば、極端な言い方ですが、同じ打ち方をしてもロフトが勝手にランニングとピッチエンドランを打ち分けてくれるのです。
アドレスを変えることもなく、あとは、それぞれで距離感と振り幅を合わせればよいだけなので、練習の仕方もシンプルになります。
ランニングアプローチには自信が必要。やさしい場面からは確実に寄せワンを
2つ目、ランニングアプローチに一番自信を持つように練習してください。
これにも理由があります。
ランニングアプローチはグリーンまでの距離が少ない場面、花道からのようなシチュエーションで使います。
つまり、沢山あるグリーン周りからのケースの中では、一番確実に寄せたい場面で多用するということです。
球の高さを出さないため、ミスが出にくいタイプでもあります。
一番寄せたいシチュエーションで、自信をもったアプローチで打てることでミスの確率が減れば、より直接的にスコアアップにつながる、ということになります。
ロブショットはそんなに使わない、難易度も高い。その分ランニングアプローチの練習を
3つ目、ロブショットはまだ覚えなくてよい、という点です。
プロのトーナメントなどでは、グリーン周りからフワッと上げる、人の背丈くらいの高さまで球を上げて、落ちてからトロトロと転がりカップに寄っていく、というアプローチを観ることがあります。見事に寄ったときには大歓声があがりますよね。
58度や60度くらいのウェッジをさらに開いて振り幅を大きくして、というアプローチショットですが、この打ち方は難易度が高い、ミスをしやすい。
そして、覚える優先順位が低いのは「そもそも使う場面が少ない」ということが理由になります。
一般のラウンドで、この打ち方を必要とする場面には、なかなか出会いません。
プロはバーディーを狙い、果敢に攻めた結果、難しいところからのアプローチになり、それでもパーをセーブしなければならないので、ロブショットを必要としています。
ですが、トーナメントで使用している高速グリーンにはなかなかお目にかかれないですし、通常の速さであれば、ピッチエンドランがあれば充分です。
実際にコースラウンドでこの打ち方ができれば、たしかに格好良いかもしれませんが、この打ち方は難易度が高い、テクニックを要する打ち方になります。当然練習量も必要になります。
人口マットでは練習は無理ですし、前述したせっかくのショートコースの練習も必要性の低い打ち方に時間を割くよりは、確実に寄せられるアプローチを優先したほうが、広い意味では、はるかにスコアアップにつながっていくかと思います。
グリーン奥目のピンポジション。グリーン奥からのアプローチは、気持ちの切り替えが大事
コースマネジメントをしっかりして、確実なショットを心がけていても、ミスはでてしまうものです。
アプローチは花道からが一番確実なので「もしグリーンを外すとしても手前で」と思ってはいても、結果的にグリーン奥に外してしまうケースはあるかもしれません。
このケースでの大事なポイント、素早く気持ちを切り替えるということです。
これはグリーン奥からのアプローチが難しいケースを前提とした考え方です。グリーン周りが全体的にフラットで、グリーンの形状も傾斜もフラット、どこから打っても同じようなシチュエーション、という場合は特に問題ありません。
ただ、特に日本のゴルフ場は顕著だそうですが、手前はやさしく奥は難しいというコース設計がとても多い。
砲台で、手前から奥に向かって上っている受けグリーン。必然的に奥からのアプローチが下り傾斜になり、難易度が上がってしまうケースが多くなってしまいます。
ピンポジションが奥目であれば、さらに難易度は上がります。
なぜ、切り替えが大事かといいますと、無理に寄せにいかずに確実に2パットでいけるように攻め方を変えたほうがよいということです。
とはいっても、1パット圏内に寄せて、パーの可能性を残したい気持ちになるかもしれません。
ただ、下り傾斜ということは、フワッと上げた球で、グリーンのエッジ付近に落とさなければなりません。
まずフワッとあげる球が難しい。ミスをすれば再び同じようなアプローチショットです。
仮に、上手く打ててフワッと上がったとしましょう。
少しでも距離感が合わないと、手前過ぎの地点、下り傾斜に残ってしまいます。
次のパットが下りのライン、難度の高いストロークが続く、ということになってしまいます。
このケースでは、攻め方を変えたほうが、気持ちを切り替えたほうが、大たたきになる可能性が減ります。より確実に、最低限の打数でそのホールを終えることができる、ということになります。
グリーン奥に外した時点で、0.5~1ペナルティと思えば良いのです。
無理にピンに寄せようとせず、ピンをオーバーしてワンピンからツーピンくらいの距離。距離は残りますが、上りのラインです。
2パットの確率はグッと上がりますし、ライン次第では1パットのパーの可能性さえあります。
アプローチショットとパッティングの連動、スコアメイクのコツ
もう1点、今回お伝えする中では一番難易度が高いかもしれませんが、心に留めておくことだけでもスコアアップにつながるかと思います。是非覚えてください。
アプローチの際は、寄せる距離ももちろん大事ですが、どこに寄せるか、どのラインから次のパットが打てるかというマネジメントがスコアに直結します。
わかりやすい具体例を挙げましょう。
パッティングで、1メートルの距離を打つ場合、カップ周辺に傾斜があれば、上りの真っ直ぐなラインが入る確率が一番高くなります。
稀に「ストレートは難しい」という方もいますが、ここではシンプルに考えてみましょう。
下りのラインでは、タッチが弱い分、微妙に曲がってしまうこともあり、難易度は上がります。
そして横からのライン、フックにせよ、スライスにせよ、タッチ次第で曲がり方が変わりますので、ストレートなラインより難しい。
こう考えると、上りの真っ直ぐなラインからのパッティングこそが、一番少ない打数でホールアウトできることにつながります。
もうおわかりですよね。アプローチのときに近くに寄せるということに上りのストレートなラインに寄せるというイメージをプラスすると、よりスコアアップにつながるということです。
ただ、前述したとおり、難易度が少し高い。
アプローチのシチュエーションにもよりますので、常にイメージして実践して、というのは、心理的なプレッシャーを高めてしまうことにもなりかねません。
ですが、例えば花道からのアプローチで、そこからピンまで上りのストレートなラインの場合。
やさしいケースでのアプローチですから、次のパットのことも少し考慮。オーバーして下りのラインを残さないように、必ず手前に残す、というイメージで打つだけでも、ワンパットの確率が高くなります。
すべてのアプローチの場面で、とまでは難しいかもしれませんが、心の片隅には留めておいていただければ、という考え方になります。

まとめ
ランニングアプローチのところで「自信」というキーワードがありました。
アプローチに関しては、この「自信をもって」と心理的な効果がとても大事になります。
スコアに直結する、というのがもちろん一番の理由ですが、アプローチに自信がつくと「すべてのショットに影響する」という意味合いもあるのです。
次回『パッティングの考え方』でもお伝えしますが、カップに近づくほど、ストロークの重要性は増します。ミスが即ホールアウトする打数になってしまいますからね。
ドライバーでスライスしても、アイアンで大きくダフっても、アプローチが寄れば、ロングパットが入れば、終わりよければすべて良し、ということになってくれます。
逆に、ドライバーがフェアウェイど真ん中、アイアンはグリーンセンターにナイスオン、でもそこから3パットしてしまえばボギー、という結果になってしまいます。
この原理がかなり効果的に作用します。
アプローチが苦手だと、アイアンでグリーンにのせたい、という気持ちが強くなり、つながって、ドライバーをフェアウェイにおきたい、という具合に、すべてのショットにプレッシャーが連なってしまうことになります。
アプローチに自信を持つことができれば、真逆に影響します。アプローチがあるから何とかなる、と思えて、全てのショットに心理的にプラスに作用してくれます。
連動してプレッシャーも軽減、スイングも自然体になり、好循環につながってくれるでしょう。
余談ですが、アプローチが得意になると、チップインが増えます。スコア以上に、ラウンド中のテンションを高めてくれて、より楽しい気分にさせてくれます。
スコアアップにつなげるとともに、是非ともアプローチショットを楽しんでいただければと思います。
次回は『パッティングの考え方』をお伝えする予定です。

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