クラブ選びを楽しむ 【ウェッジのセッティング】 ロフト角度の選び方

ウェッジ
202212192

スコアに直結するウェッジをセッティングする作業「本数は2本か3本か?」「ロフト角の使い分けは?」「組み合わせと構成は?」。アイアンとの相性など、ゴルファーの悩みどころをご説明します。合わせて、ウェッジのロフト別の飛距離もヘッドスピード別でお伝えします。

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ウェッジのセッティングと構成はPWのロフトが基準

「ウェッジは何本いれればよいのか?」

「ロフト角度の組合せのおすすめは?」

この種のご質問をいただくことが、多々あります。

以前にこちらでお伝えしたことがありますが、クラブの進化にともない、アイアンのカテゴリーは増えています。

かつては、1つのパターンのみ。5番で27度か28度、番手ごとに4度刻みで足していき、ピッチングウェッジ(以下PW)では47度か48度。

今現在では、マッスルバックなどの形状が多いアスリートタイプの設定になります。

その後、5番で24度、PWで44度か45度くらいのストロングロフト設定(以下SLタイプ)がでてきて、やがて飛び系アイアンや激飛び系(以下飛び系)というカテゴリーが登場します。

こちらは5番で22度くらい、PWでは41度や42度。

同じ番手なのに、タイプ別で6度から8度くらいまで幅があります。

今回のテーマ「ウェッジのセッティング」という観点では、特にPWのロフト設定は大きな意味をもちます。

PWのロフト設定が48度だった時代、そこに次ぐウェッジの構成は52度と58度がトレンドでした。

52度であれば、48度とは4度刻みになるので、フルショットではちょうど1番手のイメージ。

グリーン周りのアプローチでは転がし用としても使えるバランスのよいロフト。

そして、バンカー用、少し上げたいアプローチや、開いて使うロブショット用としての58度。

もちろんフルショットでも使いますが、ショートレンジで振り幅を調整してのショットのほうが割合として多かったと思います。

ただ、前述のとおり、アイアンのカテゴリーが多様化してきて、状況はガラッと変わります。

PWの次の番手は、フルショットでも使うので、ロフトを離れすぎにはしたくない。

せめて4度か5度くらいにはしておきたい。

ただ、PWが44度より下になると、50度でも離れすぎになってしまう。さらには42度や43度になると、もうお手上げ。

PWの次にウェッジが2本、というセッティングはとても厳しい…。

ウェッジのセッティングだけのことなのに、かなり悩ましい状況になってしまいます。

ウェッジの選び方 ロフトだけでなくコンセプトも大事なキーポイント

もうひとつ、アイアンのロフト設定だけでなく、そもそものアイアンのコンセプトの多様化も、ウェッジを選ぶときのひとつのキーポイントとなっています。

一番目立つのはヘッドサイズの違い。

SLタイプではあれば、アスリート系のテイストもコンセプトに入っているので、それほどの違いはありません。

ただ、飛び系クラスになると、低重心や寛容性などの性能がコンセプトの上位にきているので、ヘッドサイズそのものがかなり大きめになります。

この基準を考えるとき、その後に続く単品のウェッジは、ヘッドサイズもある程度の連携性を持たせないと、フルショットで構えたときのイメージがかなり変わってしまいます。

特別感があり過ぎるアイテムとなってしまいますので、選択基準には、ヘッドサイズなども含めたモデルのコンセプトを入れることも、大変重要になってきます。

さて、マイナスにとらえると悩みどころ満載のウェッジセッティングですが、プラスにとらえると世界が一気にひろがります。

なにしろ、モデル数が多い。そして、種類も多い。

それぞれにコンセプトがあり、前述した多様化の部分に対しては、マッチングしたタイプを探し出すことに苦労することがないほどに、活性化している市場となっています。

アイアンカテゴリーの多様化とゴルファーの悩みどころをわかってくれているかの如く、ゴルフクラブメーカーはラインナップを増やしてくれています。

トーナメントプロ使用のメインブランド展開をしているモデルで、ロフト設定を多くすることはわかりますが、アマチュアゴルファー向けにやさしさを兼ね備えたモデルであっても、選択には困らないくらいのロフト設定を提供してくれていますので、セッティング作業は楽しく進めることができるようになっています。

ウェッジのセッティングの最初の作業 本数は2本か3本か

では、具体的なセッティングについてお伝えしていきます。

まずは設定のベースとなる本数を決める作業からになります。

本数の決め方は実にシンプルです。

基準は、長い距離を優先するか、短い距離を優先するか

自身のプレースタイルと得手不得手をふまえて、ロングレンジとショートレンジのどちらに重きをおくか、という考え方です。

長い距離を優先させるとき、必然的にウェッジの本数は少なくなります。

ドライバーの次の距離を担当するフェアウェイウッドやユーティリティ、タイプもロフトもプロダクトは豊富。

10ヤード刻みで番手を用意して、ロングレンジに対しては抜かりないセッティングとする。

その場合、14本が上限である以上、短い距離を担当するPWより下のウェッジは、2本が限度になります。

逆に短い距離を優先させるとすれば、ウェッジを多くセッティングすることができます。

フェアウェイウッドやユーティリティを最低限の準備にとどめ、先ほどとは逆で、短い距離においてこそ、細かく距離別担当をおいておく。

得手不得手という表現を使いましたが、特にフルショットは大丈夫だがハーフショットとなるとミスが増える、という方には不得手な部分をロフト設定でカバーできるようなセッティングが望ましい。

ロングレンジ優先の場合はウェッジ2本でしたが、ショートレンジ優先の場合は、フェアウェイウッドやユーティリティを少なくすればするほど、必然的にウェッジの本数を多くすることが可能になりますので、幅をひろく、3本から4本を設定することができます。

ウェッジのモデル別コンセプトも多様化しています どんどん活用しましょう

本数が決まれば、ロフトのセッティングを進める段階になりますが、今度はショートレンジのなかでの優先順位や、グリーン周りでの得手不得手が重要なピースとなってきます。

2本であろうと4本であろうと、アイアンのロフト設定と同様に、4度刻み5度刻みを基本としてフルショットでの距離を打ちやすくすることをベースとして考えるか。

別の方法で、PWの次くらいまでは4度刻みにするが、そこからは、ロブショットやスピン系のアプローチをできるように58度や60度クラスをセッティングすることを必須とするか、などの優先順位ありきでの決め方です。

そして、グリーン周りでの得手不得手。

ランニングアプローチが極端に苦手であれば、転がし専用に特化したウェッジなどのプロダクトもありますので、その1本が入ることを軸に決めていくこともできますし、バンカーが苦手であれば、ショートレンジでのフルショットやアプローチ用のウェッジを設定しつつ、1本をバンカー専用で準備する、という方法もあります。

ここまでの中で、「転がし専用」や「バンカー専用」というキーワードが出てきましたが、この決め方は、プロダクトがあってこその考えた方になります。

ウェッジ市場においては、アスリートゴルファー向けにロフトやバウンスを多くラインナップしているモデルばかりを展開しているだけでなく、アベレージゴルファーをターゲットとしたモデルも多数展開してくれています。

特に、アマチュアゴルファーのグリーン周りでの”苦手要素が多いと思われる分野”に特化したサポート力抜群のタイプ。

アプローチにおいては、ダフリ&トップがもっとも目立つマイナス要素ですが、丸くラウンドしたソール形状やグースネックの設計でミスを軽減してくれるタイプがあります。

また、バンカーにおいては、フェースを開いてバウンスを使ったエクスプロージョンショットが必要になりますが、普通に構えて打つだけでも砂を爆発してくれやすい幅広いソール幅になっているモデルもあります。

苦手分野をカバーしてくれるということは、ラウンドの中で起こりうるミスを、プロダクトのサポート力だけで軽減してくれて、ダイレクトにスコアに直結するということです。スコアアップにつなげてくれるということです。

本数的に可能であれば、プレースタイルや得手不得手をしっかり考えて、妥協することなくセッティングを進めていくことをおすすめします。

ウェッジの飛距離とロフト角の関係

参考数値ではありますが、ヘッドスピード別のロフトごとの飛距離をお伝えします。

(46度と52度と58度のウェッジを目安にしています)

★ヘッドスピード45m/s➡(46度:120ヤード)(52度:100ヤード)(58度:80ヤード)

★ヘッドスピード40m/s➡(46度:100ヤード)(52度:90ヤード)(58度:70ヤード)

★ヘッドスピード35m/s➡(46度:90ヤード)(52度:75ヤード)(58度:60ヤード)

アイアンのカテゴリー別のセッティング 組み合わせと構成

では、実際のロフト設定のご提案を進めていきます。PWのロフトパターンを3パターン。それぞれに2本体制と3本体制をおきますので、計6パターンになります。

セッティング①

PW=47度or48度、ウェッジ2本体制 ➡52度・58度

アスリートタイプのアイアンを使用している時点で、ハードヒッターをターゲットとしたセッティングになります。

2本体制ですと、かつては一番オーソドックスな設定となっていた52度と58度がおすすめになります。

グリーン周りでのロブ用に60度を、とも考えるところですが、フルショットで52度の次の番手、ということも考慮にいれた2本になります。

セッティング②

PW=47度or48度・ウェッジ3本体制 ➡52度・56度・60度

男子のトーナメントプロでも多くみられるセッティングではないでしょうか。

ハードヒッターならでは、100ヤード前後の距離も52度や56度でまかなえることが可能なヘッドスピードだと思いますし、硬くて速いグリーン周りにおいての高くフワッとするロブのアプローチの場面でも60度が活躍してくれるセッティングとなっています。

60度や62度、かつてはあまり見かけないロフト設定でしたが、今ではアスリートタイプのウェッジでは設定されているモデルも多いですし、このロフトでの出球の高さはやはり特別です。

一度も使ったことがない、という方は是非使ってみてください。

アプローチのバリエーションが明らかに増えてくれます。

セッティング③

PW=44度or45度、ウェッジ2本体制 ➡50度・56度

アイアンはSLタイプを使用、ウェッジ2本という時点でロングレンジ優先となりますから、ショートレンジでの多少の距離別対応への犠牲は仕方がないところ。

とはいえ、フルショットでのPWとの担当距離が離れ過ぎてしまうと、せっかくの100ヤード前後のチャンスともいえる距離が難しくなってしまいます。

56度は、58度にくらべれば負けますが、多少のロブでしたらできますし、もちろんバンカーでもOK。

ロングレンジ優先での最低限のセッティングといえます。

セッティング④

PW=44度or45度、ウェッジ3本体制

➡①48度・52度・56度

➡②50度・54度・58度

使用者比率の多いSLタイプで、せっかくの3本体制です。2パターンでのご提案です。

パターン①は、フルショットでの距離を大切に考えたところ。

PWから56度まで、しっかり10ヤード刻みで挑むことができ、ショートレンジのマネジメントの質がグンと上がります。

パターン②も同様、10ヤード刻みを可能とする設定ですが、下を58度にしたところがグリーン周りを重視したセッティングとなっています。

セッティング⑤

PW=41度or42度、ウェッジ2本体制 ➡48度・56度

かなりロングレンジ優先となっているセッティングになってしまいます。

実は、アベレージタイプの王道、12代目は飛び系の部類に入るロフト設定となっている『ゼクシオ12』は、アイアンセットとして、このロフト設定となっています。

PWが42度、AWが48度、SWが56度になりますので、6度刻み➡8度刻み、として考えると、ショートレンジでの距離の担当の幅は、目にみえて広めになります。

つまり、長い距離のアイテムを豊富にして、その場面でのグリーンキャッチの確率をあげていき、スコアアップにつなげていく。

ショートレンジはできる限りスイングで調整する、というタイプのゴルファーが選択するセッティングかと思います。

セッティング⑥

PW=41度or42度、ウェッジ3本体制

➡パターン①45度・50度・56度

➡パターン②48度・56度・特別アイテム

ここでも2パターンとしてみました。

パターン①は、できる限り距離の間隔をあけないようにセッティング。56度もいれてあるので、高い球でのアプローチにも対応できますし、バンカーももちろんOK。

パターン②には、先にお伝えした、苦手分野をカバーしてくれる特化した性能をもつアイテムを設定してみました。

飛び系は、アイアンにおいても飛距離をサポートしてくれる機能に長けています。

シニアゴルファーやレディースゴルファーの使用者が多いことも可能性としてふまえて、アプローチやバンカーショットでも助けてくれる1本を入れられる前提としてのセッティングになります。

セッティング⑤と⑥に関しては、飛び系がベースとなりますので、ウェッジの選択基準には、先にお伝えしたヘッドサイズなども考慮が必要です。

スピン重視、という基準でトーナメントプロ使用モデルなどをチョイスすると、ヘッドサイズのバランスが合わなくなる可能性もあります。

モデルのコンセプトとウェッジのコンセプト、双方の相性をふまえてのセッティングを進めていきましょう。

まとめ

『ウェッジのセッティング』というテーマでお伝えしてきました。

”多様化”というキーワードが何度か登場しましたが、ドライバーなどの飛距離性能とともに、クラブ開発において同じくらい重要視されて進んでいるのが「多様なゴルファーにマッチングするためのコンセプトやタイプの多様化」です。

アイアンのカテゴリーが増えれば、連動するウェッジにも影響がでます。

嬉しいことに、アイアンのカテゴリー増加は「多様化への対応」という視点だけでなく、「ゴルフのプレーをより簡単にやさしく」という意味での進化も含まれています。

そして、連動するウェッジも同様。

10数年ならば特別扱いだったキャビティバック形状のウェッジが、人気メーカーからもメインブランドに近い扱いで展開されているほどです。

多様化しているさまざまなタイプの中から、アイアンとの相性をプラス要素としてふまえながら、ロフトのセッティングをしていく。

せっかくですから、クラブ全体の進化の恩恵は、最大限活用させてもらいましょう。

さて、実際にチョイスしていくモデルですが、以前にウェッジのおすすめをご紹介している回もありますし、これから秋のNEWモデル発売の時期にもなります。

継続しておすすめモデルをご紹介していきますし、個々のゴルファーに合った、個々の推奨のセッティングに合うウェッジモデルをご紹介していく予定です。

是非そちらも参考にしてみてください。

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