今回ご紹介するのは、2016年にヤマハから発売されたinpres(インプレス)UD+2アイアン。
飛び系アイアンの元祖ともいえる名器です。年式としてはかなり前の中古モデルですが、性能は色あせていませんし、まだまだオススメできるモデルです。なによりもコストパフォーマンスが抜群!
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アイアンの飛距離
「最近アイアンの飛距離が落ちてしまって…」
2010年代のなかば、筆者が店頭にいたとき、ある60代男性のお客様(Aさん)から、このようなお話がありました。
ハンデキャップは10から20の間、ゴルフ歴も長く、とてもバランスのいいスイングをされるゴルファーです。
さまざまなゴルファーの方と接してきましたが、50代から60代、いわゆるシニア世代に入る方からは、この種のご相談をいただくことがたくさんありました。
きけば、以前は7番アイアンで普通にのせていたショートホールが、6番でも届かなくなったとのこと。
向かい風でもなく、調子が悪いわけでもない。しっかり振れてイイ球を打てているのに距離が届かない。
スイングやテクニカルな部分ではアドバイスはできません。ですが、クラブフィッターとして何かできないかと思い、つかっているクラブを見せてもらいましたが、少し驚きました。
お使いのモデルは、軟鉄鍛造のコンパクトなヘッドサイズのハーフキャビティのアイアン。シャフトはダイナミックゴールドのS200が入っていましたから、男子トーナメントプロがつかうようなバリバリのアスリート設定です。
ロフトを測ってみると案の定、5番アイアンで27度、ピッチングウェッジが48度、昔ながらのノーマルロフトの設定です。
長年ゴルフをされているかたは、ヘッドシェイプと打感、そしてシャフトにもこだわりがある方が多いのでめずらしいことではありません。しかし、スチールシャフトの中でもかなり重めのダイナミックゴールドを振られていることは、そもそもスゴイ。
早速そのことをお話してみると、Aさん大きく頷かれました、「その通り」という表情です。
以前よりも重さを感じるし、楽に振れない。相当一生懸命振らないと当たってくれないし体力的にしんどくなってきた、とのこと。
番手別の飛距離もそうかもしれませんが、この部分も「ご相談にのれてよかった」と思いました。
ゴルフ歴が長いと、比例して、嗜好にも個性がでてきます。セッティングにもフィーリングにもこだわりがあるかもしれません。ですが、より楽しくプレーできるために、日々進化している道具の素晴らしい性能は、大いに活用すべきです。
ヘッドの性能としても、重さの面でも、ジャストフィットでオススメできるモデルがありましたので、ご紹介しました。
ヤマハから発売された「インプレス UD+2」。このとき2010年代半ば、世に飛び系アイアンが登場した年代です。
アイアンのヘッドとシャフト重量
Aさんがお使いのクラブは軟鉄鍛造のコンパクトなヘッドサイズのハーフキャビティ。
かたや、筆者がオススメしたのは、ラージヘッドでこれ以上ないくらいのフルキャビティで低重心設計の飛び系アイアン。
まず最初の出会い、ヘッドの見た目はものの見事に真逆です。ここで違和感を覚えて拒否反応をしめす方も、正直いって少なくありません。
とくに、ゴルフ歴が長い方は顕著です。ドライバーはパーシモンヘッドから、アイアンはマッスルバックから始めている方も多いので、構えたときのあまりのビジュアルの違いは、性能よりも前に、振るイメージをつくりづらい。
Aさんからも「イイ顔してるね」という台詞はもちろん出てきません。ですが、それ以上に手に持ったときの感触に興味をもたれていました。
このときお渡しした7番アイアンの試打クラブは、軽量スチールのNSプロZelos7。
カーボンのほうが軽くなりますが、ダイナミックゴールドからいきなりカーボンではあまりの重さの違いがデメリットになりかねません。まずは純正装着されていた超軽量スチールのクラブをもってもらったのです。
ただ、スチールとはいえ、超軽量です。ダイナミックゴールドとでは40g以上のシャフト重量差がありますから、手に持ったときの感触は段違いです。
見た目を気に入っている様子ではまったくありませんでしたが、一点だけ、打つ前に入念に素振りをしてから打つことだけお伝えしてから、ラウンドに試打クラブをもっていかれました。
飛び系アイアンのストロングポイント
戻られたときの表情は、驚きというよりも不思議なことが起きたというような反応でした。
いくつかのシチュエーションで、以前は7番で打っていた距離で実際に打ってみたところ、届かないどころか、全てがグリーンオーバー。その後に5番アイアンで打つような距離のシチュエーションで打ってみたら、距離がジャスト。
驚いたのは2つの点、打感と球質。
軟鉄鍛造に慣れているくらいですから、飛び系アイアン特有の弾くような打感は初めての感触だったようです。
見た目の話ではありませんが、ここでも相性の〇と×はハッキリとわかれます。Aさんにとっては、〇だったようです。
弾くようなフィーリングが逆に心地よく、力みをもたずに振らせてくれる印象をもったようです。
そして、本題となる飛距離。
ロフトがたっているのから飛ぶのはわかる。ただ、飛んだこと以上に驚いたのが弾道の高さで、想定以上に高い球筋が出てくれて長い距離なのにグリーンに止まってくれた。このことにも驚かれたようです。
確認してみたところ、使っているボールはやはりウレタンカバーのスピン系。軟鉄鍛造アイアンを使っていたほどですから、そこにもこだわりがあったようです。
スピン系のボールであれば、飛び系とはいえ、7番とはいえ、よほど硬くて速いグリーンでなければ、ある程度のスピンはきいてくれます。
飛んでくれるうえに、グリーンもとらえてくれるパフォーマンスをもつアイアン。
Aさんは、このあと練習場でも追加で感触をチェックしてから、まず7番からPWまでのセットを購入されました。
飛び系アイアンの元祖
このインプレスUD+2は、飛び系アイアンの元祖ともいっていいモデルです。
このカテゴリーでは、ヤマハの他にもプロギアなどが発売していましたが、「プラス2番手の飛び」というキャッチフレーズが性能をストレートに表現していてとてもわかりやすく、ドライバーやフェアウェイウッド、ユーティリティにいたるまでラインナップしていたので、どんどんファンが増えていった記憶があります。
このモデルの前までは、ヤマハというメーカーのなかで「インプレス」と「RMX(リミックス)」というブランドがあり、ひとつのモデルに双方がネーミングとして入っていました。
ただ、この飛び系アイアンが登場するタイミングで、アスリートタイプの「RMX」とアベレージタイプの「インプレス」にしっかりとカテゴライズされます。
新しいアイアンの概念を誕生させて、ヤマハという一流メーカーがブランド戦略を変えてきたモデルでもあったので、二重三重の効果で「飛び系アイアン」は世に浸透いきます。
2016年に初代モデルが発売された2年後、2018年には2代目が発売。2020年には3代目が発売されます。
しかし、2020年前後の時期。ゴルフ業界では「飛び系」というカテゴリーが見事に定着しています。
後発のカテゴリーというイメージはすっかり消え失せて、他の主要な人気メーカーがこぞって発売し始めたこともあり、インプレスブランドの勢いはやや落ちてしまいます。
2024年現在、インプレスのブランドではDRIVESTAR(ドライブスター)というモデルが発売されていて、このカテゴリーでまだまだ高評価を得ています。
今後も楽しみな存在ですね。
番手別のロフト設定
下の図をご覧ください。
ロフトと番手の選び方
7番で26度、ピッチングウェッジで38度。飛び系アイアンの特徴です。なにせロフトがたっていますから、番手別設定が以前とは違います。
スタンダードなセット組みでは、9番のあとにPW、その次にはAWとSWという番手設定になります。ですが、このモデルではAWとSWのあいだにASという番手があります。
中古市場の在庫をみると、基本セットとして販売されていた「7番~PW」という4本セット組みが多くなっていますが、上の番手として5番や6番もありますし、下の番手としてASやSWも少数ではありますが在庫があります。
お気に入りの単品ウェッジを組み合わせるのではなく、アイアンセットとしてセッティングするのであれば、7番~SWまでの7本セット、または6番~SWまでの8本セットをオススメします。
ただ、年式が古いこともあり、中古市場をみるとSWまでのセット数が少ない…。
その場合でも、できればAWかASまではそろえたほうがいいと思います。
装着シャフトの選び方
標準装着されていたカーボンシャフトMX-517iも、スチールシャフトNSプロZEROS 7も、双方在庫があります。
シャフトを選択するときは、フィーリングもそうですが、重さも大事です。
先にもお伝えしましたが、とくに今までスチールシャフトを使用していた方は、いきなりカーボンシャフトに変えると慣れるまで相当な時間がかかります。
「もう年齢のこともあるし、楽に振りたいから」という理由でいきなりカーボンシャフトを選択するかたも多くいますが、あまりオススメできません。
今までスチールシャフトを使っていた方は、まずは軽量スチールでセッティングしてみてください。安心してください、どちらのシャフトでも在庫はあります。
中古市場の在庫状況
2024年8月5日時点での【ゴルフドゥ公式サイト】の在庫状況は28セット、最安値が24,800円、最高値が86,700円です。
装着シャフト:NSプロ ZELOS
標準で装着されているスチールシャフト「NSプロ ZELOS7」。先にお伝えしたとおり、超軽量タイプのスチールシャフトです。
全在庫の約3分の1ですね。5番からSWまでの9本セット、7番からSWまでの7本セットがあります。数が少ないですから、こちらのシャフトをチョイスするかたは早い者勝ちかもしれません。
装着シャフト:MX-517ⅰ
純正のカーボンシャフトです。アベレージタイプなので、こちらのほうが在庫は多いですね。
ただ、SWまでのセットはほとんどありません。AWまでのセットが少数ならばあるという状況です。
まとめ
この代のラインナップでは、フェアウェイウッドとユーティリティもありますし、そちらも高い評価を得ていました。
アイアンセットを7番からいれて、ユーティリティの24度を組み合わせてあげると、長い距離のレンジもかなり楽になります。
なによりも同じシリーズならでは、シャフトのフィーリングやモデルのコンセプトが一緒なので、違和感なく振れることがメリットになります。
ユーティリティの在庫状況もあわせてCHECKしてみてください。
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