フィッティングとマッチングで最適なスピン量と打ち出し角をみつけてドライバーの飛距離を伸ばす

クラブの知識
202212192

ドライバーの飛距離は、ヘッドスピードによって決まります。

ただ、あなたのスイングとの相性が悪ければ、最大のパフォーマンスを発揮してくれません。

つまり、今よりもマッチングしているクラブに出会えれば、飛距離の最大値が上がる可能性があります。

ゴルフについて、さまざまな視点から、ゴルファーの皆さんにプラスになる(かもしれない)情報をお伝えします。

今回のテーマは「飛距離の最大値の可能性 フィッティングとマッチングで飛距離を伸ばす」

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道具の進化とゴルファーの選択肢

ゴルフ歴が40年近くになり、さらにはゴルフ業界のなかに身をおいていると、つくづく道具の進化に驚かされます。

筆者がゴルフを始めたときに使用したドライバーはパーシモンヘッド。

世に、テーラーメイドのメタルウッドが登場したタイミングでもあり、クラブの市場が急激に変化している時期。

アイアンも、マッスルバックこそがアスリート、という状況からハーフキャビティなどが徐々に登場、尾崎直道プロのパーソナルモデルでもある『JOEキャビティ』が発売されたあたりから、アスリートゴルファーが使うアイアンにも、寛容性などの「やさしさ」が浸透していきました。

そして、2000年代に入り、女子プロのトーナメントにスーパースターが登場します。

宮里藍プロ。現在の女子プロゴルフの隆盛は彼女のおかげといってもよいでしょう。

「子供のときに藍ちゃんの活躍をみてプロを目指した」という年代の子たちが、いま20代の世代。

まさにトーナメントの中心となって大活躍しています。

さて、クラブの進化に目を向けると、当時はブリヂストンの『ViQ』が空前の大ヒット。

宮里プロ使用のモデルということで、「藍ちゃんが使っているモデルください」という、いわゆる「指名買い」という現象が起きていたほどです。

ドライバーからアイアンまでがブリヂストン、そしてオークリーのサングラスやオデッセイのパターなど、とにかく使っているすべてのアイテムがゴルフ市場のトレンドとなったことを記憶しています。

筆者も、もれなく大ファンだったので、アイアンは『ViQフォージド』の後に使用した『ツアーステージ X-BLADE GR C-1』を使い、パターも同じモデルの『オデッセイ テロン』、オークリーのサングラスを真似て使い始めたのもこの頃です。

さて、クラブ市場の2000年代は、アベレージタイプのダンロップ『ゼクシオ』シリーズが登場した時期でもあります。

2007年にドライバーの高反発規制のルールが変わり、ひたすら飛距離アップを競う「反発係数勝負」から違う視点での開発が進んでいき、アベレージタイプでは振りやすさや寛容性、アスリートタイプではテーラーメイドが先頭を走っていたチューニング機能などの操作性を進化させていきました。

ヘッドの大型化は460CCで止まりましたので、それ以上は不可能でしたし、その後にはアイアンやウェッジにも溝規制のルール変更がありましたので、果たしてこれ以上の進化は可能なのか、業界にいる一人として、考えたこともありました。

ただ、2000年代後半に、テーラーメイドが『BURNER』を発売して、ヘッドの重さを利用して飛距離アップにつなげる「ハンマーヘッド効果」を登場させて、バランスの多様性を世に認知させたこと。

そして、2009年には、その後のゴルフクラブの概念を変えてしまった「可変式スリーブ」、いわゆる「カチャカチャ」が登場。最初はヘッドの向き、フェースアングルを調整するだけでしたが、やがてロフト調整までが可能になり、名称や設定に違いはありますが、今では主要なメーカーのほとんどが搭載しているほどの機能になりました。

さて、ドライバーからユーティリティまでのウッド系にかんして、この「調整」という機能の登場と進化は、現在のクラブの性能とゴルファーの関係においては、とても重要な意味をもちます。

以前は、飛距離を伸ばすためには反発係数アップによる飛距離アップ、という性能ありきでのことだけでした。

そこから、クラブ側の「ヘッドとシャフトの機能」、そしてユーザー側の「ヘッドスピードやスイングタイプ」、この互いの要素を高度にマッチングさせることで、飛距離や方向性や確率をあげていく、という手法。タイプやコンセプトやスペックを個々にフィットさせていくことで、あらゆる数値を上げていく、というスタイルに変わっていったのです。

具体的な例。

ドライバーで一番効率的に飛距離を出す『高弾道低スピン』という概念がありますが、ヘッドスピードに応じた適正な弾道の高さやスピン量、そして、いかにスイートエリアでとらえてヘッドのパワーを伝えることができたか、ということを示すミート率。

こういった数値を、フィッティングによって、よりマッチしたタイプを選び、適正数値に近づけていくことで、ゴルファーのもつ最大の飛距離や確率をあげていく、ということが可能になっていっているのです。

2010年を過ぎてからは、その認識が広がることをメーカーは予見していたのでしょう。

性能の進化の度合いがさらに進み、機能の調整によるフィットだけでなく、タイプ別モデルを複数展開するというスタイルで、主要メーカーの競争が激化します。

あるNEWモデルが発売されるときは、タイプが一つということはほとんどなく、スタンダードを中心に、低スピンタイプやつかまるタイプなどを同時展開。調整機能以前に、そもそも備えている性能で、個々のユーザーにフィットできる展開の仕方に変わっていきました。

近年での最たる典型が、2022年に発売されたキャロウェイの『ROGUE ST』シリーズ。ヘッドのタイプ、重量帯、細かく分類してしまうと、なんと7種類。

他の主要メーカーであるテーラーメイドやPINGも、複数タイプの同時発売は必須となっていて、他の革新的な新機能が登場しない限りは、このスタイルは定着、という状況です。

クラブのタイプとゴルファーのマッチング

クラブとゴルファーのマッチング、ということを深く考えるほど、「もっと遠くへ飛ばしたい」「真っ直ぐ飛ばしてフェアウェイキープ率を上げたい」というドライバーへの願望は、いま現在のさまざまな数値を確認してからのことではありますが、まだまだ向上の可能性があることがわかります。

いま使っているドライバーで計測してみて、スピン量が3500回転であれば、もっと低スピン設定のモデルに変えることで、2500回転くらいの適正なスピン量になり飛距離が伸びる。

右への出球が多く、サイドスピンもスライス回転の傾向が圧倒的に多い、ということであれば、ドローバイアスの強いつかまり系のヘッドに変えることで、スライス回転を軽減でき、方向性の安定感が増す。

他にも、球筋の傾向から、モデルのタイプを変えるだけで、適正数値にしていくパターンはたくさんあります。

ここまでお読み頂いたかたで、「まだ一度も計測したことがない」という方がいましたら、是非体験してみてください。

練習場、店舗、最近はインドアの施設も増えましたし、計測器は数値だけをみれるシンプルなタイプから大きい画面でコースラウンドも楽しめるようなシミュレーションタイプまで様々ありますので、簡単に計測することができます。

特に都心のインドア施設は、近年ものすごい勢いで数が増えていて、クラブのフィッティングだけでなく、スイング解析も同時にできるところもあり、一石二鳥三鳥というありがたい市場になっています。

計測した数値をみて、そばにスタッフさんがいたら、各数値の適正をきいてみてください。

数字はうそをつきませんので、商売根性抜きで教えてくれると思います。

少なからずドライバーに悩みがあるかたで、一番主要な数値(打ち出し角、バックスピン量、サイドスピン、左右への出玉、ミート率)、すべてが適正という方はあまりいないと思いますし、適正数値にしてくれるタイプのモデルに変えることで、いまの悩みを少しでも軽減できる可能性は充分あります。

まとめ

この30年、ゴルフの道具は明らかに進化しました。

前述したように、飛距離などの各性能がアップしたのはもちろんですが、個々のゴルファーに合わせて、多様なニーズに応えてくれるスタイルの面でも、それは同様。

パーシモンヘッドやマッスルバックアイアンを使っていたときと比較すれば、信じられないくらい選択肢が増えて、そして道具の恩恵をうけて、ゴルフをより楽しめる環境になっています。

そこまで考えたことはなかった、という方は、是非一度、道具について深く考えてみてください。

飛距離はまだまだ伸びる可能性もありますし、もっとゴルフを楽しむこともできます。

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