ゴルフ【2024】クラブ選びを楽しむ テーマ《アイアンの種類とコンセプトの選び方》

クラブの知識
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アイアンの種類は、ロフトや素材、飛距離だけでなく、コンセプトによって分類される、という考え方をお伝えします。

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選び方という視点で、ドライバーとの一番の違いは、モデルのタイプ、種類の多さです。

こちらでは、クラブを選ぶという作業も楽しむことに混ぜてしまおう、という視点で、ひとつのテーマを設定して、楽しみながらクラブを知っていく、選んでいく方法をお伝えしていきます。

前回はドライバーの選び方をテーマとしてお伝えしました。総重量をひとつの基準としてみることで、個々のゴルファーとの相性を考えて、フィッティングを進めていくという内容でしたが、今回はアイテムが変わり、『アイアンの選び方』をテーマとしてお伝えしていきたいと思います。

総重量をひとつの目安としてタイプを見極めていくドライバーとの一番の違いは、モデルのタイプ、種類の多さです。

ひとつの例ですが、『ゼクシオ』ブランドをもち、国産メーカーとしてはトップに君臨するダンロップから発売されているアイアンのモデルをみてみると、メンズだけで、なんと8種類。

〇〇と△△は、タイプは同じだけどデザインが違う、ということではありません。すべてにコンセプトがあり、違う特徴をもっているのです。

もちろん、すべての主要なメーカーがこれだけのモデル数を有しているわけではありません。

ただ、海外メーカーの中でも、アイアンの高評価モデルを長年にわたり発売しているタイトリストも、7種類のモデルを展開しています。それだけ、市場のニーズがあるということです。

それぞれのモデルのコンセプトは、何が違うのか。そして、なぜ違いが必要なのか。

アイアンの種類をコンセプトにそって分類 カテゴライズ

さまざまな要素がありますが、それをコンセプトごとに説明しやすくするために、すべてのモデルを4つのタイプに分類します。

『飛び系アイアン』という概念の登場後に、カテゴリーのネーミングができて以降、この《アイアンのカテゴリー》という概念に関しては、ゴルフ業界全体で年々表現が変わってきています。それくらいコンセプトが多様化してきている証拠なのですが、ルールで決まっているわけでもなく、あるメーカーが明確にカテゴライズしているわけでも、全メディアで統一されているわけでもないので、ここでは、独断と偏見で、次のように分類します。

①ノーマルロフトアスリートアイアン(以下NLタイプ)

②ストロングロフトアスリートアイアン(以下SLタイプ)

③飛び系アイアン(以下飛び系)

④激飛びアイアン(以下激飛び系)

先にご紹介したダンロップのアイアンでは、上記4タイプは次のように分類します。

①NLタイプ:Z-FORGEDⅡ、ZX7MkⅡ

②SLタイプ:ZX5MkⅡ、ZX4MkⅡ

③飛び系:ゼクシオエックス、ゼクシオ12

④激飛び系:ゼクシオプライム、ゼクシオクロス

どのような観点で、基準で、分類して、それぞれにどのような特徴があり、どのようなゴルファーにフィットするのか。アイアンの機能・性能にフォーカスして、個々にご説明していきます。

その前に、前提として、数値として、わかりやすい分類の見方がありますので、各モデルのロフト設定をみていきます。SRIXONブランドで4モデル、ゼクシオブランドで4モデルです。

『ゼクシオクロス』のみ《DW》という番手があります。このモデルは『ゼクシオクロス』というブランドでは2代目になりますが、初代は2019年に発売。市場で『飛び系アイアン』がトレンドになってきたことで発売されたともいえるモデルで、他の飛び系同様にAWとSWの間の番手を設定している次第です。

この中で、一番ロフトが寝ている(飛ばない設定になっている)『Z-FORGEDⅡ』と、一番ロフトがたっている(飛ぶ設定になっている)『ゼクシオクロス』を例にしてご説明していきます。

ご覧いただくとおり、7番アイアンで、Z-FORGEDⅡは33度、ゼクシオクロスは25度と8度もの違いがあります。8モデルあって、8度違うところが、各モデルにしっかりと違いを設けているわかりやすい目安かもしれません。

ロフトが8度違えば、同じ番手で2番手分の飛距離の差があることになりますが、今回お伝えするポイントとしては、それほど重要ではありません。ロフト設定は、コンセプトをわかりやすくしている、分類の仕方のひとつの目安でしかありません。

それでは、それぞれのタイプごとに、その特徴をお伝えしていきます。

①ノーマルロフトアスリートアイアン(NLタイプ)

顕著に違いがわかるのは下の図です。前述した2タイプですが、左の『Z-FORGEDⅡ』をご覧ください。

まず、トップブレードが薄めでシャープなイメージを持たせています。

アイアンは、上からの見た目で、《顔》という表現が使われます。「このアイアン、顔がいいね」というような表現です。

※説明としてわかりやすくするため、ここではフェースデザイン(以下FD)とさせてもらいます。

アイアン、特にコントロール性能を重視するアスリートタイプにとって、構えたときの見た目は生命線

ゴルフクラブ全般で使われる言い方ではありますが、アイアンでは特に多用され、このNLタイプでは、多用されるどころか生命線ともいえるファクターになります。

その理由は、求められる性能として優先順位の高いところに《コントロール性》があるからになります。

ゴルファーには、それぞれ《持ち球》という概念があります。ストレート、ドローヒッター、フェードヒッターという分類になりますが、トーナメントプロや上級者ですと、ストレートよりも後者2タイプのほうが多いかと思います。

少し右にでてフック回転の球筋で狙いに落とすドローヒッターと、逆に少し左に出してスライス回転の球筋で狙いに落とすフェードヒッターですが、どちらもストレートに近い曲がり幅での球筋が理想とされていて、ゴルファーによっては両タイプを打ち分ける方もいます。

前者のドローヒッターの場合、インパクトで右に出すため、コントロール性という要素のもとでは、FDで大事なのは、とにかく《左にいかないイメージ》です。《逃げ顔》と表現されることもあります。勝手に左に行かない、フェースコントロールでフック回転をつくっていく、というイメージがFDでは大事になってきます。

細かな特徴としては、シャフトからネック、ネックからトゥまでが一体に見えること。

そして、トップブレードの頂点がトゥ寄りにありラインも直線的、トゥ先端の頂点が上めにあるのが逃げ顔のポイントといえるでしょう。

後者のフェードヒッターの場合、同じコントロール性重視でも、つかまえやすい印象を持たせてくれることが大事になってきます。《つかまり顔》と表現されることもありますが、こちらで大事になってくる特徴としては、やや面長のFD、トップブレードの頂点がセンター寄り、トゥ先端の頂点が下めにある点です。インパクトではしっかりとつかまえて左に出し、それでいてフェースを返し過ぎずにスライス回転の球筋をつくるので、インパクト前後のフェースの挙動性はドローヒッターよりも重要かもしれません。

このように、どちらの球筋にせよ、コントロール性能の重要性はとても高く、連動して、顔、FDも大事になってくるというわけです。

アスリートタイプのアイアンにとって、性能を同じくらい大事な打感の良さ 軟鉄鍛造(フォージド)が多いのも特徴

そしてもうひとつ、NLタイプで重要視されるのが、打感です。

素材製法としては、軟鉄鍛造、フォージドが多いのもNLタイプの特徴ですが、とにかくフォージドは打感が柔らかい。打感が柔らかいイコール優れたモデル、というわけではないのですが、アイアンにとってはスピンコントロールが重要で、フェースに食いつくような打感のほうがコントロールしやすい、というイメージが高いことからも、各モデルともこの部分、打感の良さの向上には力をいれています。

アスリートタイプは、なぜロフトが寝ているか

このタイプにとってコントロール性が重要なのはお分かりいただけたと思いますが、その観点は方向性だけではありません。

先ほどのドローとフェードの打ち分けにも連動しますが、フェードの場合は、インパクトのときに「カットにいれる」という、飛び過ぎないようにヒットする打ち方もあります。縦の距離感を出す打ち方なので、乱暴な言い方をすれば、勝手に飛び過ぎてもらっては困るのです。横の方向性だけでなく、縦の距離の部分でもコントロール性が求められるということになるので、その見方でいえば、ロフトをたてる必要がなく、あくまで距離別の設定があれば機能としては充分ということです。

NLタイプの楽しみ方 おすすめのゴルファー

ここまでご説明したとおり、NLタイプは、やさしさは感じられないタイプです。

ですが、ゴルフ歴、年数が浅くても、「最近、アイアンが本当に得意になってきて、ミスが減った」「ミート率も高くなってきたし、上級者向けのタイプも試してみたい」という方には、是非一度使ってみることをおススメします。

もちろん、セットですから、新品はもとより、中古でもある程度の価格がしますし、買い替えにはじっくりと検討することになると思います。

ただ、アイアンに対してプラスのイメージが強い方でしたら、このタイプを使うことで得ることがとても多いと思います。

これまでに大きいヘッドサイズのやさしいタイプを使っていた方でしたら、芯を外しても飛んでいたところが、芯でとらえないと距離も方向性も落ちます。苦手な方でしたら、マイナスのイメージでしかありませんが、得意な方でしたら、よりスイングの精度を上げてくれるツールになってくれます。そして、とらえることに慣れてきたら、次には、抜群の操作性とフィーリングに出会えますし、アイアン=コントロール、というひとつ上のステージに行けるかと思います

スチールシャフト装着が多く、機能としても球を上げてくれるモデルは少ないので、必然的にヘッドスピード40m/s以上、半ばから50m/s近いゴルファーへのおススメにはなりますが、アイアンが得意な方には是非一度お試しいただきたいタイプです。

②ストロングロフトアスリートアイアン(SLタイプ)

さて、このカテゴリーは、メーカーもかなり力をいれていて、ゴルファーとしては楽しめる要素がたくさんあるタイプかと思います。

広い意味では、NLタイプと同じく上級者向けのカテゴリーになりますが、このタイプには、バランスよく《飛び》と《やさしさ》がプラスされています。

FDの雰囲気は、ほぼNLタイプと同じ。

見た目と操作性はアスリートテイストなのですが、ロフトが少しだけたっているので、オートマチックに飛びをサポートしてくれます。

そして、見た目では薄めのトップブレードでシャープに感じさせながら、ヘッドが軟鉄だけの単一素材とは限らず、中空構造を採用したモデルから、複数の素材が組み合わされたポケットキャビティがあったり、タングステンが内臓されていたりと、性能としてやさしく仕上げているのが特徴となっています。

ロフトだけでなく、コンセプトが選び方のポイント。構えたときに《芯》をどのようにイメージできるか

ZX4MkⅡは、5番で23度、7番で28.5度と、とらえ方によっては次の飛び系のカテゴリーに入れる考え方もあるかもしれません。

ただ、FDが完全にアスリートテイストなので、SLタイプに分類しました。

実は、この観点がアイアンの選び方では大事にしたい部分です。特にSLタイプと飛び系タイプを明確に分ける基準になる要素です。

構えたときに、ヘッドをトンっと置いたときに、そこから何がイメージされるか。

やさしさはもちろん欲しいけど、シャープでコンパクトな顔立ちのほうが構えやすいし、ショットのイメージもしやすい、と感じるのか。

ヘッドの大きさがあったほうがやさしさを感じやすいし、芯を外しても助けてくれる安心感がある、と感じるのか。

前者のゴルファーには、SLタイプがおススメですし、このタイプの存在が活かされる真骨頂といってもよいでしょう。

後者には飛び系タイプがおススメ、ヘッドサイズの大きさは、そのままスイートスポットの広さにもつながり、芯を外してもサポートしてくれることがビジュアルでも伝わってきます。

このように、ロフトだけでカテゴライズするよりも、アイアンのイメージの面で何を求めるか、という観点のほうが、より個々のゴルファーへの相性にフォーカスすることができるかと思います。

かっこいいアイアンが欲しい、でもやさしさも飛距離も欲しい、という欲張りなゴルファーにおすすめ

下の図をご覧ください。

先ほどの比較では、FDの違いは明らかでしたが、この2タイプはこれだけでは見分けがつかないほどにテイストが似ています。表面の仕上げと、グースの度合いが若干違うところくらいでしょうか。

これは見方によりますが、メーカーのクラブ開発の尽力の賜物かと思います。

なぜかと言いますと、このSLタイプのニーズが、まさにその点にあるからです。

「見た目がかっこいい、プロが使用するようなシャープなモデルを使いたいけど、自分には少し難しいかな」と感じている方。

または、「見た目には妥協したくないけど、飛距離のサポートも欲しいな」というゴルファー。

《カッコよさ》と《やさしさ》の両立。ここに打感や弾道の違いなども加わりますので、楽しめる要素がふんだんにあります。

ある意味で、アイアンを一番楽しめるカテゴリーともいえるのではないでしょうか。

飛び系アイアン(飛び系)

ひとつの例ですが、《飛び系アイアン》という概念が定着する前から、ゼクシオブランドはありました。ネーミングとしては、ドライバーでも使われていますが、《アベレージタイプ》に分類され、そのカテゴリーにおいては王道の位置づけとして長年君臨していたほどです。

今回の分類では、『ゼクシオエックス』と『ゼクシオ12』は、飛び系タイプに分類しました。

実は、設定の上では、ゼクシオシリーズは代ごとに少しづつロフトをたててきています。

3代前の『ゼクシオナイン』までは、5番で24度、7番で30度と、いまの『ZX5MkⅡ』とあまり変わらない設定でした。

少しづつロフトをたててきた理由は、アイアンのジャンルでは《アベレージ=飛び系》という認識になってきたからだと思います。

ヘッドサイズが大きく、やさしさを感じさせてはくれるけど、ロフトが寝ていて飛距離面のサポートがない、というコンセプトでは、ほぼニーズがないということもあるでしょう。

飛び系タイプの楽しみ方 飛距離や性能も大事だけど、ビジュアルも大事。安心感とテイストの絶妙な融合

さて、SLタイプと飛び系の違いは前述した通りで、構えたときの安心感、ある程度のヘッドサイズが特徴の飛び系ですが、とはいえビジュアルが全く無用、というわけではありません。

飛距離をサポートしてくれるロフト設定や、高い弾道を出してくれる低重心という機能はもちつつも、全体的なFDはSLタイプに近いフォルムになっています。この次にご紹介する『激飛び系』は、その意味では究極になっているタイプになりますが、この『飛び系』は、やさしさと安心感と構えやすさという3ポイントが共存しているタイプといえるでしょう。

激飛び系アイアン(激飛び系)

下の図をご覧ください。

左がアベレージタイプの王道、現在では飛び系に分類される『ゼクシオ12』で、右が激飛び系の『ゼクシオクロス』になります。

上からだと一目瞭然ですが、トップブレードの後ろ側、バックフェースの厚みが全然違います。

次に、下の画像をご覧ください。

双方のソール幅、半分より下の部分の厚みがまるで違うのがお分かりいただけると思います。

これは、インパクトのときに多少手前に入っても滑ってくれる効果も狙いとしてはありますが、それ以上に《低重心化》が一番の役割となっています。

アイアンのやさしい性能の究極 低重心化と高弾道と寛容性

激飛び系は、特にロフトがたっています。5番で21度ですから、ひと昔前でいえば3番アイアンと同じロフトになります。

さて、3番アイアン、ロングアイアンと聞いて連想されるのは、そう、「球が上がらない」ということです。

アイアンなので、グリーンをとらえる、グリーンに球を止めるのが仕事です。そのため、ある程度の弾道の高さを必要としますが、このロフトで、たとえばNLタイプのようなバックフェースが平らなヘッドシェイプですと、欲しい高弾道を得るには、スピン量を確保するためのダウンブローとヘッドスピード、そして的確なミートが必要になります。

このタイプ、激飛び系のヘッド形状は、その両方をカバーしてくれます。

厚み充分の低重心がオートマチックに高弾道をつくってくれるので、ダウンブローもヘッドスピードも必要ありません。また、バックフェースはこれ以上ないほどのフルキャビティです。スイートスポットの広さは最強ですし、多少のミスでも最大限のサポートをしてくれます。

このように、ビジュアル面よりも、全てを性能向上にささげるべく造られているのが、激飛び系タイプの特徴です。

フェース素材も進化 寛容性と飛距離アップ双方をサポート

ロフトがたっていることだけで、飛距離を助けてくれるわけではありません。

近年の、この激飛び系は、アイアンなのにフェースの素材までも変わってきています。

見た目ではほとんどわかりませんが、ボールをヒットするエリア、スコアラインがある周囲にチタン素材が採用されているモデルが多くなっています。そのため、打感も軟鉄鍛造と違い、明らかに弾くようなフィーリングになっていて、感触で飛距離を感じさせてくれるようになっています。

そして、チタン採用による余剰重量をさらに下に、低重心化に活用。相乗効果で激飛び系に必要な性能向上につながっています。

激飛び系タイプの楽しみ方

長年ゴルフをされている方で、系統としては、SLタイプや飛び系をいま現在使われている方。もっと楽に飛ばしたい、最近飛距離が落ちてきた分をクラブの力でなんとかならないか、とお考えの方、ゴルファーの方には、本当におススメです。

まとめ

アイアンを4つのタイプに分けて、それぞれのコンセプトと特徴についてお伝えしてきましたが、まだまだアイアンの楽しみ方には先がありますし、知れば知るほど奥が深い。

今回は、装着されているシャフトについては触れませんでしたが、ウッド系と同様、シャフトの重要性も大きい。飛距離だけでなく、方向性とフィーリングが関わってくる分、微妙で繊細なニュアンスの分野にもなります。そして、実際に打ってみて、それぞれのシャフトの特徴や違いを知ってしまうと、よりBETTERなほうを使ってみたい、という感情が生まれます。

そして、少し大げさな表現ですが、それ以外のシャフトだと違和感を覚えてしまい、微妙にショットに影響してしまう、というほどに相性の重要性が増してきます。

次回、このシリーズでは、シャフトについてもお伝えする予定です。

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