ゴルフ用語の「アドレス」とは?プレーファースト、アドレス時の手の位置、ボールとの距離、重心・体重配分などがキーワードです。
ゴルフ用語での『アドレス』とは、「ボールを打つ前の構え」のことをいいます。
実際にかまえたときに、「アドレスに入った」「アドレスをとる」とも言いますし、いったん構えてからやめるとき、「アドレスをとく」とも言います。
「構え」という言葉でも通じるかと思いますが、ゴルフでは『アドレス』というワードのほうが多用されています。
「良い構えしているね」よりも「良いアドレスしているね」という言葉のほうがしっくりくるかと思います。
これには、スイングの前の段階であるにも関わらず、『アドレス』自体がとても重要であり、ここを間違えるとショットの成否が大きく変わってくることからも、構えという言葉では済まず、『アドレス』という専門用語が定着していることの理由のひとつになっているかと思います。
ここでは、ビジュアル的な視点やレッスンの類ではなく、用語としての『アドレス』に関連するお話をお伝えしたいと思います。特に、初心者ゴルファーの方には是非とも覚えて頂きたい内容がありますので、ご覧ください。
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アドレスが長い人に上手い人はいない
時間をかけずに、スッと打つのが理想 ルール・マナー・プレーファーストの観点でも大事です
少し格言めいた言葉ですが、長年ゴルフをしていると結構耳にする言葉です。この言葉には、2つの視点からの意味あいがあると思います。
まず一つ目。アドレスが長いと、「始動の妨げになってしまう」という点です。
アドレスはスイングをする前の準備の時間であり、基本的には動きを止めています。そこから『テークバック』というクラブを上げていく動きに入るわけですが、あまりに止めている時間が長いと、筋肉や関節がかたくなってしまい、シンプルな意味で「動きづらい状態」になってしまいます。素振りをして、打つ方向を決めて、ボールに対してアドレスをつくり、と、ここまでは動きがあります。流れの中でスムーズにスイングできるようにするためにも、アドレスに入ったら、スッとスイングできるのが望ましいかと思います。
2つ目の理由。これは技術的なことよりも、マナーに類すること、『プレーファースト』という概念につながります。
ゴルフは、1組2人から4人でラウンドするスタイルで、ゴルフ場全体でいえば数十人から数百人のゴルファーで共有して楽しむスポーツになります。一人のゴルファーのプレーする時間が長いと、その日のゴルフ場を共有しているすべてのゴルファーにも影響してしまうことから、個々のゴルファーが、できる限り時間をかけないように心がけてプレーするということが大事になってきます。
単純な計算ですが、上級者でも70回から80回、初心者の方だと100回以上のアドレスをする機会があります。実際にアドレスに入り、スイングのチェックポイントを色々と考え始めてしまうと、5秒以上も構えたまま動かない、という方を稀に見ることもあります。細かいことではありますが、秒数×回数と考えると、やはり時間を費やしていることには、かわりはありません。
《スムーズに動きやすくすること》と《プレーファーストの気持ち》を覚えていただき、アドレスに入ったら、一呼吸くらいでスッと動きだすことをおススメします。
アドレス スタンスの向きの重要性
スタンスの向きのチェック 合わせ方の練習方法もあります
これは、ラウンドの際にとても重要になります。アドレスのなかでは、線の意味での『ライン』がいくつかあります。肩のライン、腰のライン、スタンスのライン、細かく言えばもっとあるかもしれませんが、一番大事なのは『スタンスのライン』です。このラインを間違えると、狙ったところを向いていることにならず、せっかく良いスイングをしても良い結果につながらなくなってしまいます。
ご存じのとおり、練習場では、足もとのマットもボールを置くところも固定されていて、打つ方向に対してスクエア(直角)にアドレスしやすくなっています。練習場によっては、自動でティーアップしてくれるところもあり、足元をまったく動かさずに繰り返し打つこともできるくらいです。ただ、現場となるゴルフ場ではまったく様相がかわります。ティーショットを打つティイングエリアでは少し目安となるティーマークはありますが、練習場のようなラインはありませんし、フェアウェイやグリーンでは、構えるときの目印は勿論ありません。自分でターゲットに向かって方向を決めて、アドレスをつくって向きを決めることになります。
まずは、このスタンスの向きを決めることの重要さを覚えて頂き、ラウンドを重ねていきましたら、個々にコツをつかんでいくと大きなミスにならなくなるかと思います。
ひとつの対策ですが、練習場で打つときに、あえてマットの向きで立たずに、どこかのヤード表示や鉄柱などの目標を決めて、スタンスの《向きをつくる作業の練習》をすることもおすすめです。実際にアドレスをつくってみて、足元カカトのラインにシャフトを置いてみて、一度後ろに下がってみると、自分の向いている方向が確認できます。この作業を繰り返すだけでも方向をきめるコツをつかめるかと思います。
なお、ゴルフ場では、足元や、スタンスのすぐそばに目安となるようにクラブを置いたりすることはルール違反になりますので、合わせて覚えて頂ければと思います。
アドレスにも定期的なチェックを
左右の足の重心 ボールの位置が近い 手の位置が遠い など
練習を重ねていき、ある程度のゴルフ歴になっていくと、調子の良いときもありますが、残念ながら悪い時もあり、そういった時にテークバックや体重移動、各パーツの動きなど、スイング自体に意識がいく方を多く見かけます。ただ、そういう時は、土台となるアドレスのチェックこそが大事です。
ゴルフを始めて、一度カタチを覚えても、時間が経過すると、少しずつ変わってしまう可能性が充分あります。普段歩いているときの姿勢でも、ふとしたときに猫背になっていることに気付いたり、無意識のうちに姿勢が悪くなってしまっているということがあるものです。
アドレスも同様で、無意識につま先に体重がかかってしまっていたり、適正な位置よりボールが近かったり逆に遠くなっていたり。アドレスにちょっと狂いが生じただけでも、先ほどの『スタンスの向き』同様、正しい動きをしてもナイスショットにつながらなくなってしまいます。
こちらも、ちょっとしたおススメ対策があります。練習をしていて、とても調子がよいときに、正面と飛球線後方から、アドレスとスイングの動画を記録しておくことをおススメします。悪い時にはチェックするために撮る方も多いと思いますが、良い時ほど記録を残しておきますと、不調のときに見比べることで、簡単なチェックツールとして活用することができます。
アドレスでの力加減
リラックスした気分で 右肘を伸ばすよりも、体につけるくらいゆるめる
全身をつかって、捻転運動をして、シャフトをしならせて、ヘッドを最大限のスピードで走らせて、飛距離を出す。それがスイングの根本の動きになります。それだけに、できる限りのスピードを出したい気持ちから、身体のさまざまな箇所に力が入り、出発点であるアドレスの時点で体中にガチガチに力をいれてしまうことが少なくありません。
ただ、前述のとおり、静止した状態から動き出すので、力を入れ過ぎてしまうことは決してプラスには働きません。トーナメントプロや上級者は、アドレスでどっしりとしたイメージはありつつも、腕や手首は少しリラックスしていて、動きやすいイメージが伝わってきます。
右利きで右打ちの方の場合、特に力の入り過ぎでみられるのは、アドレスの段階で右手と右腕に力が入り過ぎ、右肘が伸びてしまっている方です。スタンダードなスイングであれば、バックスイングとトップでは右腕は曲がりますし、伸びているだけならまだよいですが、力が入り過ぎてしまうと、ヘッドスピードを上げることにはつながらず、逆にミスにつながるような余計な動きが生じる可能性のほうが高くなってしまいます。
それでも、ついクセで力が入ってしまう、という方にちょっとしたコツのご紹介です。
下方向に力んでしまう、クラブを上から押すように力んでしまう場合は、少しヘッドを浮かして構えるだけでも変化があります。地面から5ミリで1センチでも、浮かして構えることはルール上も問題ないですし、テークバックもスムーズに動きやすくなるといったメリットもあります。
また、アドレスに入ったときのルーティンとして、右肘を脱力して極端にゆるめるという手順もあります。気づいたとき、ではなく、100%の約束事の作業としてしまうことで、右腕を伸ばし過ぎてしまうような力の入り過ぎは明らかになくなります。
ドライバーで軽くても250g以上、アイアンであれば300g以上の重さのクラブを振るので、たしかに力は必要です。ただ、土台となる下半身に力感はあっても、上半身の肩や腕や手はリラックス、《長いアドレス》のマイナス要素と同様に、力の入り過ぎはスイング全体のバランスにも影響します。グリップの握る力は、緩まない程度にしっかりとクラブを動かせる力であれば充分ですし、腕力も体との一体感を生み出すくらいの力で充分です。
ナイスショットのためには、心も体もリラックス、というくらいのイメージを持って頂ければと思います。
アドレスの違和感
ラウンド中に感じたら スタンスの向き、前後左右の体重配分や、軸の傾きなど、基礎をチェック
ラウンド中、アドレスに入ったとき、なにか違和感を感じるときがあります。そんなときは、スッとアドレスをとき、ひと呼吸入れてからルーティンをやり直すことをおススメします。
練習場で、何十球、何百球、何千球と打って作り上げていくアドレスとスイングです。いざ現場でかまえたときに、何かの違いを感じるときは、100%ではありませんが、何かの信号の可能性もあります。イメージよりも実際は少し右を向いている、とか、適正よりも前傾姿勢が深い、とか、思ったより左足体重が大きい、とか。ラウンドの中で、何回もあることではないかもしれませんが、違和感=仕切り直し、と覚えておくと、ミスの可能性も少なくなります。
ただ、これも『プレーファースト』の観点と、合わせて覚えてください。あまりに回数が多いのは良くありませんし、仕切り直しをするときは、同伴競技者のかたに「すみません」と一声かけることは大事かと思います。
番手別や場面に応じたアドレスの違い
ドライバーやアイアンのボールの位置や体重配分の違い、斜面での対応
こちらは、ジャンルとしては技術的な部分になるかもしれませんが、スイングの説明のようなレッスンの類のお話ではありません。ただ、スイングとアドレスの関連性について、認識として覚えておいていただきたい内容になります。
クラブのアイテムの種類としては、ドライバー、フェアウェイウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジ、パターと沢山あり、アドレスと合わせて考えると、それぞれにスタンスの幅や、ボールの位置、手の位置、左右の体重配分などが変わってきます。
そして、アプローチショットやバンカーショットでは、より特殊なアドレスと打ち方をすることも必要ですし、ラウンド中は斜面でのショットもありますので、そんな場面のためにも、個々の対応を覚えておかなければなりません。
お伝えしたいのは、練習場の平らなライからのアドレスとショットは、あくまでスタンダードであり、番手や場面に応じて、都度アドレスを対応させなければならないということと、その準備ができていないと「良いスイング=良いショット」になってくれないということです。
例えば、左下がりのライに出会ったとしましょう。垂直に立つというよりは、斜面にそって立つことが必要ですし、体重配分も左に多くかけることになります。そのため、スイング自体もできるだけ斜面にそった軌道が必要になります。また、ボールの位置も通常より少し右寄りになります。そして、少しスライス回転になりやすいこともあるので、目標設定も少し左にすることになります。左足下がりのライにきただけで、これだけの対応が必要になってきます。
特殊なライの対応や、特殊な打ち方のバリエーションのような、ある意味での「引き出しの数」は、ゴルフ歴、ラウンド数と比例していくと思います。
アプローチショットで、『ロブショット』という高くフワッとあげる打ち方があります。これはスコアを良くしていく上では絶対に必要という類のショットではありません。ただ、前述した斜面でのショットやバンカーショットなどは、絶対に出会うシチュエーションですし、やがてはクリアしないとスコアに影響してしまう類のショットです。
いきなり全てを覚えるのは難しいと思います。コースで特殊なケースに出会ったときは記録して、次回までに対応を覚えておき、次回に同様の場面に会ったときにはしっかりとチャレンジする。その繰り返しで、引き出しの数は増えていきます。アドレスとスイングは連動していますので、その点だけは、是非とも覚えておいていただきたいと思います。
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